2024年を迎えて
世界的にさまざまな問題・課題を抱えながらも、喜びと希望をもって新年を迎えようとしていたところ、いきなり1月1日に能登半島に大きな地震が起こってしまいました。この文章を書いている時点で地震発生からまだ4日しか経っていませんが、次第に明らかになる被害の大きさに驚くばかりです。亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、被災されたすべての方がこの困難を乗り超え、一刻も早く生活を取り戻すことができるようお祈り申し上げます。
わたしたちカリタス南相馬は東日本大震災と原発事故以後の歩みの中でさまざまな経験をしてきました。今回の被災地からは遠く離れていますが、これまでの経験を活かしながら、わたしたちにできることを見つけていきたいと思っています。
今年のカリタス南相馬のキャッチフレーズは「見さ来ぅ南相馬!」としました。そのことを紹介した『東京教区ニュース』第409号(2024年1月1日発行)の「福島の地から〜カリタス南相馬」という文章ですが、肝心の年号を間違えて原稿を提出してしまいました。訂正した文章を以下に載せますので、どうかお読みください。
わたしも含め、スタッフ、シスターも高齢化してきて力の衰えを感じることがあります。いろいろご迷惑をかけるかもしれませんが、今年もよろしくお願い申し上げます。
2024年1月5日
一般社団法人カリタス南相馬代表理事
幸田和生
「見さ来ぅ南相馬!」
一般社団法人カリタス南相馬代表理事
東京教区名誉補佐司教
幸田和生
「見さ来ぅ南相馬!」というのは、2024年のカリタス南相馬のキャッチフレーズです。「みさこぅ」と読みますが、浜通りの言葉で「見においで」という意味です。
カリタス南相馬の前身であるカリタス原町ベースは、全国から東日本大震災被災地に来るボランティアの方々に宿と食事を提供するために始まりました。その後、ボランティアだけでなく、特に原発事故の被災地の現状を知りたいという方々も受け入れて、その方々の案内をするのも、わたしたちの重要なミッションと考えるようになりました。
しかしこの3年間、新型コロナウイルス感染症の流行によってカリタス南相馬では宿泊者の受け入れをすることがほとんどできませんでした。2023年の夏は大幅に制限を緩和することができて、多くの人、特に高校生や大学生のグループを受け入れることができました。そこで、2024年は、以前カリタス南相馬に来られた方で、久しぶりに福島に行ってみようかという方、またボランティア活動をしてみようという方、さらにまだ行ったことはないけれど福島県浜通りのことを見たい・知りたいという方を大いに歓迎したいと考えています。
福島の原発事故は過去のことではありません。今も福島第一原発には大量のデブリが残ったままで、その処理や廃炉の目処は立っていません。一方で周辺地域の状況は年とともに変わってきています。ALPS処理水の海洋放出の問題、除染によって出た除去土壌の再利用の問題は決して福島だけの問題ではありません。政府が原発の再稼働や増設・新設に向けて動き始めた今だからこそ、原発事故の影響が今もどのように続いているか、あの震災と事故から学ぶべきことは何なのか、自分の目で見て考えることが大切だと感じています。
来てくださった方々には、震災からの復興状況や原発事故の現在だけでなく、福島県浜通りの四季の風景、この地ならではのイベントや美味しいものなども紹介していきたいと考えています。